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飲食店経営ラボ|現場25年のノウハウで学ぶ「強いお店のつくり方」

飲食業25年の経験から導き出した結論——
現場で起きる問題のほとんどは、「人・数字・仕組み」の3つに整理できます。

このブログでは、それをさらに9つのテーマに分け、スタッフ・店長・オーナーが“今日から使える現場ノウハウ”として公開しています。

「悩みをなくす」ではなく、「悩みに強くなる」。
そんな“現場学”を一緒に育てていきましょう。

「いい店」ってなんだろう。——お客さんの満足を超える“本当の条件”とは

「いい店」って、なんだろう。
SNSの評価?味?スタッフの元気さ?
どれも大切だけれど、どれも“ほんの一部”にすぎません。

本当にいい店とは、「お客さんが満足する店」
では、その満足を生む条件とは何でしょうか?

今回は、現場25年の経験から見えてきた
「いい店」に共通する3つの仕組みを深掘りしていきます。

「いい店」って、なんだろう。

私はこれまで、たくさんのお店を見てきました。
その中で、ずっと考えてきたことがあります。

「いい店」って、なんだろう。

清潔感がある。
親しみやすい。
丁寧な接客。
スタッフが笑顔で、お客さんも笑顔。
一生懸命で、フランクなサービス。
唯一無二の美味しい料理。
食べなれた味。
——どれも“いい店”の条件です。

でも、ひとつだけ共通していることがあります。

お客さんが満足して、また来たいと思えること。

それこそが、「いい店」の本質だと私は思います。

満足を生む条件

お客さんの満足は、“おいしい”だけでは生まれません。
料理、空気、会話、タイミング、清潔さ、安心感——
そのすべてがひとつの体験として重なったとき、
「ここ、なんかいいね」と感じてもらえるのだと思います。

そして、その“なんかいい”を支えているのは、
店主の思いです。

その思いとは、店主やオーナー、店長によって言葉が違います。
「いい店をつくりたい」
「お客さんに気持ちよく帰ってもらいたい」
「また来るね」って言ってもらいたい。

私は、人によって、そして同じ人でも、
時期や状況によって“考えの比重”は変わるものだと思います。

いや、言い換えれば——
その時々の“現場”に合わせて、
何を一番大切にするかが変わっていくのだと思います。

ただし、どんな店でも、どんな時代でも、
「これだけは欠かせない」という絶対条件が存在します。

以下が、私が考える「いい店の絶対条件」です。

いい店の絶対条件

  1. 清潔であること
    汚れた厨房やトイレのある店が繁盛することはありません。
    清潔さは“信頼”であり、料理以前の最低限の約束です。

  2. いい店の条件のひとつに、清潔であることがあります。
    まずは、どこからきれいにしていくか——現場の具体的な動きを紹介します。

  3. スタッフが気持ちよく働けていること
    良い空気はスタッフの表情から生まれます。
    もし笑顔が消えていたら、それは仕組みか環境のどこかが歪んでいるサインです。

  4. お客さんの立場で考えられていること
    「どうしたら喜んでもらえるか」を想像できる店は、自然とリピーターが育ちます。
    これは技術よりも“想像力”の問題です。

  5. 味に誠実であること
    仕込み、温度、手間、盛り付け——その一つひとつに誠実さがある。
    料理は「人柄」が味になる仕事だと、私は思っています。

  6. 継続できる仕組みがあること
    どんなに良いサービスも、続けられなければ意味がありません。
    人・数字・仕組みのバランスが、店の“持続力”をつくります。

この5つが整ったとき、店には「余白」が生まれます。
スタッフが笑い、店主が少し深呼吸できる。
その“余白”こそが、次のお客さんの笑顔につながるのだと思います。

「いい店」とは、
お客さんも、働く人も、気持ちよく帰れる場所。
そんなお店を、これからも一緒に考えていきたいと思います。

「清潔であること」から始めよう。——いい店は、床と心を磨くところから

「いい店の絶対条件は?」と聞かれたら、私は迷わずこう答えます。
清潔であること

これは、単に“汚れていない”という意味ではありません。スタッフが安心して働けて、お客さんが気持ちよく過ごせる——その土台が清潔さです。

そして清潔さは、現場を強くする9つのテーマの中でも最初に取り組むべきテーマだと考えています。

清潔とは、“信頼”を生む約束

お客さんは料理を食べる前に、店を見ています。入口、床、トイレ、テーブル、スタッフの靴。どこかにホコリやベタつきがあるだけで、「ここ、大丈夫かな?」と不安が生まれます。

清潔さは、お客さんが安心して料理を楽しむための前提条件=信頼のスタートライン。だから私は新人にもこう伝えます。
「まずは、床を見よう。」床がきれいなら、店はほとんど整っています。

まず、どこからきれいにしていくか(優先5エリア)

  1. 入口とドア —— 最初の3秒で印象が決まる(指紋・くもり・砂埃は即NG)
  2. トイレ —— 忙しくても最低1日1回の点検+昼ピーク前の再点検
  3. 床(通路→厨房→客席の順) —— 動線から磨くと全体が締まる
  4. スタッフの靴・制服 —— 誠実さは足元に出る(靴の艶・エプロンのシワ)
  5. メニュー表・卓上 —— ベタつき・折れ・詰め替え容器の口汚れは即改善

🔎 クイックチェック(今日の営業前に3分)

  • 入口のガラスは無傷・無指紋か?マットに砂は溜まっていないか?
  • トイレの匂い・紙補充・便座裏・床の水滴は?
  • 通路のベタつき・排水口周りの黒ずみは?
  • 靴の艶とエプロンのシワ、名札の位置は整っているか?
  • 卓上(メニュー・調味料)のベタつき、容器の口元は?

“きれい”を続けるための仕組み(ミニ運用)

  • 担当の明確化:エリアごとに「誰が・いつ」を固定(入口=開店担当、トイレ=中番、床=閉店)
  • 時間の固定:開店前10分/ピーク前5分/閉店前10分の3コマ習慣
  • 見える化:チェック表を一枚、入口裏に掲示(署名入りで“やった感”ではなく“やった証明”)
  • 道具の配置:「使う場所に置く」(トイレ用はトイレ内、ガラス用は入口脇)
  • 仕上がり基準:スマホ写真でOK例/NG例を共有(新人教育が一気に早くなる)

清潔の運用は「人・数字・仕組み」のバランスで回ります。詳しくは
👉 現場を強くする9つのテーマ も併せてご覧ください。

清潔さは、チームづくりの入り口

不思議なことに、店がきれいになると、スタッフの雰囲気も良くなります。掃除には“共通のリズム”を作る力があるから。みんなで磨いた床は、みんなの職場になる。
床がピカピカの店に笑顔が多いのは、清潔さが人の心を整えるからです。

今日、たったひとつやるなら

もし今日ひとつだけ行動するなら——「床を磨くこと」から始めましょう。清潔さは料理より先に“信頼”を生みます。磨くほど、店の価値が上がっていく。それが「いい店」への最初の一歩です。

いや、同時に。いや、まず「トイレ」をきれいにする。

小さな飲食店では、男子と女子が同じトイレを使うことも少なくありません。
だからこそ、トイレの清潔感が店全体の印象を左右します。
便器の水アカ、床のシミ、ペーパーの補充、そして匂い。
どれかひとつでも気になると、お客様は「料理の味」より先に“衛生”を思ってしまうものです。

トイレ掃除に手を抜かない店は、たいてい厨房もきれい。
そして、そういう店はスタッフの意識も高い。
トイレ掃除は、店の「姿勢」がそのまま現れる場所です。

今日のひと手間で、明日の印象が変わる。
だからまずは、トイレのドアを開けてみましょう。
「お客様の目線」で、そこに立ってみる。
それが、いい店をつくる第一歩です。

全スタッフがトイレに美意識を持っている店は、間違いなく「いい店」です。

すべてのスタッフがトイレに対して美意識を持っている店――それは間違いなく良い店です。
もしくは、これから「いい店」になる可能性を大いに秘めています。
店主の「トイレをきれいにしよう」という方針が、全スタッフまでしっかりと行きわたっている証拠だからです。

料理の技術やサービスのスキルを全員に浸透させるには、どうしても時間がかかります。
しかし、「トイレをきれいに保つ」という習慣が全員に根づいているということは、すでにその組織に“血管”が通っているということ。
つまり、命が通った店なのです。

トイレを磨く手が、やがて厨房を磨き、心を磨く。
「清潔さ」という一見地味な習慣こそが、店の文化をつくる――。
それが、長く愛される店の共通点です。

私はまず、自分でやります。率先垂範です。

私はまず、自分でトイレを掃除します。
率先垂範――それが一番早く、確実に店を変える方法だからです。
自分でやってみると、すぐに「欠陥」が見えてきます。
それは排水溝から漂う悪臭かもしれません。
あるいは、トイレットペーパーのストックが見つけにくい配置かもしれません。

こうした“小さな気づき”は、実際に手を動かしてみないと分かりません。
そしてこの姿勢は――驚くほど、スタッフに伝わります。もし、中年の女性スタッフがみたら相当利きます。
特に、やる気のあるアルバイトスタッフほど敏感に見ています。
「店長がやっている」という姿は、言葉以上に強いメッセージになるのです。

トイレ掃除は、単なる清掃ではありません。
現場の文化を変える、最初のコミュニケーションです。

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