飲食店では、ベテランが抜けた瞬間に仕事が回らなくなる──こんな経験は誰でもあります。 その根本原因は、仕事が「個人の感覚」に依存しているからです。 これを解消するために有効なのが セル方式 という考え方です。
セル方式とは?
店内の業務を「セル(=小さな独立ユニット)」に分け、 誰が入っても同じ動きができるように設計する仕組みのことです。 例:麺場セル、揚げ場セル、ホール配膳セル、レジセル…など。
セル方式がもたらす3つの効果
- 新人でもすぐに戦力化される(動線・やることが明確)
- ベテランの負担が減る(指示を毎回出す必要がない)
- チームの回転が安定する(セルごとに最適化されている)
セル方式の最小単位「3つの明確化」
どのセルにも、次の3つさえ書いてあれば回るようになります。
- ① やること(ToDo)
→ 写真付き・番号付きで「1. 麺を上げる」「2. どんぶりを温める」のように明確化。 - ② 判定基準(KPI)
→ 例:仕上がり時間90秒以内、提供順A→B→Cなど。 - ③ 減点方式(ミスの基準)
→ 例:冷蔵庫を開けたら−2点、道具が手元にない−1点。 ※ポイントは原因が見える化されること。
新人育成が早くなる理由
新人がつまずくのは、情報が抽象的だからです。 セル方式は「自分の場所」「自分のやること」が最初から決まっているため、 “最短ルートで成長する環境”になります。
実際の店での運用例
以下は一例ですが、どのジャンルの飲食店にも適用できます。
- 麺場セル: 麺上げ→スープ合わせ→盛り付け→提供ラインへ
- 揚げ場セル: 油温管理→揚げ時間→置き場所→提供順番
- ホール配膳セル: 配膳動線→提供ルール→バッシング順
- レジセル: 開店前セット→会計→締め作業
セル方式が「チーム力」を爆上げする理由
セル方式の本質は “仕事の定義を明確にする” こと。 仕事が明確になると、スタッフは以下のように変わります。
- 迷わず動ける → スピードが上がる
- ミスの原因が見える → 改善できる
- セル同士の連携が滑らか → 店全体が回る
まとめ
セル方式は、飲食店の「個人依存」を壊し、 誰が入っても回る店づくりを可能にする仕組みです。 特に新人育成が大きく変わり、店全体の安定感が段違いになります。 今後の記事では、各セルの作り方やテンプレートも紹介していきます。


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