① 店内でのクレーム対応|現場の悩みと解決法

1現場の悩み・解決法

飲食店で最も気を使うのが、店内で発生するお客様からのクレーム対応です。
「頼んだものが来ていない」「料理に髪の毛が入っていた」「予約が通っていない」「従業員の態度が悪い」──
どの店でも起こり得ることですが、対応の仕方一つで「二度と来ないお客様」にも「ファン客」にもなります。

🍽️ よくあるクレーム例

  • 頼んだものが来ていない
  • 異物混入(髪の毛・虫など)
  • 予約漏れ・席間違い
  • 従業員の言葉遣い・態度
  • 料理の温度や味・見た目
  • 提供までの時間が長い

💡 対応の基本ステップ(現場用)

🧭 クレーム対応アクションチャート(簡易版)

現場で迷った時はこの順番を思い出してください。
「落ち着いて・聞いて・伝える」だけで現場の空気は守れます。

ステップ行動ポイント
① まず聞くお客様の話を最後まで聞く。言い訳や遮りは禁止。「いかがしましたでしょうか?」の一言から。
② 謝意を伝える明らかに店側の過失がある場合は、話の途中でも「申し訳ございません」と伝える。タイミングは“感情が高まる前”。
③ 状況を確認キッチンや予約台帳を確認し、事実を整理する。憶測で話さず、確認後に戻る。
④ 対応・報告その場で解決できる場合は謝罪と再提供。
収束したら店長へ報告。
報告は5W1H+お客様の様子。
⑤ エスカレーション「店長を呼んでください」と言われたら、即報告。
事実のみを正確に伝える。
「誰が悪い」は判断しない。
⑥ 店長対応責任者が誠意をもって説明と再謝罪。
再発防止策を約束。
目的は“信頼回復”。
⑦ 共有・再発防止営業終了後にミーティングで共有。
原因・対策を1つメモに残す。
個人批判ではなく「仕組み改善」。

この7ステップを守るだけで、どんなクレームも落ち着いた対応ができます。
クレームは「信頼を取り戻すチャンス」です。

① まず「聞く」ことから始める

言い訳せず、相手の気持ちを受け止める姿勢を見せること。
この時に最も大切なのは、しっかりと「お客様の意見を聞く」ことです。

特に、自分が一次対応者の場合は心構えが難しい場面が多いです。
なぜなら、クレームはほとんどが「準備できていない時に突然起こる」からです。

多くの場合、「すみません」と呼び止められた時、スタッフ側は
「追加注文かな?」「お会計かな?」と反射的に思ってしまいます。
ですが、その瞬間に「あ、お客様が不快な思いをしている」
と察知できるかどうかが、最初の分かれ道です。

一次対応者の“反応の3秒”が、その後の空気を左右します。
慌てず、姿勢を正して、まずは「いかがしましたでしょうか?」もしくは「お話をお聞かせください」と伝えましょう。

そして何より大切なのは、「きちんと対応しようとしている姿勢を伝えること」です。
お客様は「完璧な対応」よりも「誠実に向き合う姿勢」を見ています。

テーブルで呼ばれたら、その場で対応する。レジ前でもその場で耳を傾ける。
「では、あちらでお伺いします」という対応は避けたほうが良いです。
クレームはその場で解決する意志を見せることが最も重要です。

② 「お客様の話を聞く」とはどういうことか

クレーム対応でよくあるのが、お客様が話した後に
「店長を呼んでください」という流れになるパターンです。
ですが、ここで大切なのは「お客様が伝えようとしている内容を、まずその場のスタッフがきちんと聞く」ことです。

多くのケースでは、お客様は怒鳴りたいのではなく、
「困っている状況を伝えたい」「改善してほしい」と思っています。
だからこそ、最初に対応したスタッフが“聞く姿勢”を見せることが何より大事です。

🍺 よくあるクレーム例1:ビールが来ない

お客様:「ビール頼んだんだけど、まだ?」
NG例:「すぐ持ってきます!」
OK例:「お待たせして申し訳ありません。ただいまお持ちいたします。」

🔹 ポイント:「すぐ」は付け加えないほうが良い。 理由:すぐ出せない場合、約束を守れずかえって印象を悪くするため。 → 実際に持って行ったときに「お待たせいたしました」で十分です。

🥢 クレーム例2:料理が来ていない

お客様:「○○頼んでるんだけど、まだですか?」
NG例:「ちょっと確認します!」(と言ってそのまま放置)
OK例:「申し訳ありません。確認してまいります。すぐお持ちできるよう手配いたします。」

🔹 ポイント:戻ってきたら必ず報告する。 「ただいま調理中でございます」「あと○分ほどでお持ちできます」と伝えるだけで信頼が戻ります。

💬 クレーム例3:態度が悪いと言われた時

お客様:「さっきの人、態度悪くない?」
OK対応:「ご不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ございません。詳しくお伺いしてもよろしいでしょうか?」

🔹 ポイント:ここでは言い訳禁止。 スタッフ同士で原因を探すのは後回し。まずは「相手の気持ち」に焦点を当てます。

③ クレーム対応で最も大切な姿勢

クレーム対応で最も大切なことは、「お客様の言っていることは正しい」という前提で話を聞くことです。
自分に非があるかどうかを考える前に、まずは相手の感情を受け止める。 ここを間違えると、どんなに説明をしても伝わりません。

「こちらに過失がある」と感じたら、 お客様が話している途中でも構いません。 すぐに「申し訳ございません」「大変失礼いたしました」と謝意を伝えましょう。

この一言があるかどうかで、空気がまったく変わります。
実際、現場ではあとになって「なんで謝らないの?」と再クレームにつながるケースが多いのです。

謝ることは「負け」ではありません。 「お客様の気持ちを理解しようとしている」姿勢を伝えるための大切な行動です。 相手が何を求めているのか、どこに不満があるのかを聞き出すためにも、まずは謝意を言葉にしましょう。

④ 責任者(店長)が入るタイミングと声かけ例

クレーム対応では、「どの段階で責任者が出るか」で印象が大きく変わります。
早すぎると「大げさ」、遅すぎると「逃げている」と思われることも。
ここでは、現場で判断しやすい基準と、入る際の言葉遣いをまとめます。

  • お客様の声が明らかに大きくなっている(感情が高ぶっている)
  • スタッフが説明しても納得されていない
  • 提供ミス・異物混入・予約漏れなど、店舗の信用に関わる内容
  • 「責任者を呼んでください」と直接言われた時

🔹 基本ルール: 「自分で収まるか不安」と感じたら、迷わず責任者に報告する。 店長が出ることは“失敗”ではなく、“早期鎮静化”の一手です。

入る時の第一声例:
「お待たせいたしました。店長の○○と申します。ご不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ございません。」

✅ まとめ: 責任者が出る目的は「弁明」ではなく、「信頼回復」です。 お客様の立場に立ち、まず安心してもらうことを最優先に。

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